「オンライン俳句図書館」は、俳句の図書を専門に扱う、インターネット上の図書館です。
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「石川県立美術館だより」2023年1月号【471号】に広告が載りました。
2023年 2月の公開
一月の公開句集に訂正を加えました。
「沢木欣一集」を公開致しました。
「氷室叢書」のご注文は、青磁社 https://seijisya.com こちらへ。
お待ちしております。
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沢木欣一集
昭和55年(1980)
自註現代俳句シリーズⅡ期17
社団法人俳人協会
自分の作品を自選するのはしんどい事である。何となく気が重いのと忙しさにまぎとめるのが遅れた事をお詫びしたい。昨年の十月に私は満六十歳とな四十年となった。還暦の記念になって望外の喜びである。お世話になを申し上げます。
(沢木欣一) -
港のある街 宮沢淑子句文集
令和4年(2022)発行 遺句集
氷室叢書
青磁社
二〇二〇年の句には次の句があり、旅にまたでることを楽しみにして夢にまでナイルが流れていたようです。
昼寝覚夢にもナイル流れをり
この夢の思いが実現することなく、淑子さんは旅立たれました。この『宮澤淑子句文集』は、淑子さんが出版を意図して自ら作成しつつあった原稿をもとに、停車場句会のメンバーが協力して完成したものです。
(尾池和夫 氷室主宰) -
宇治川 三和幸一
令和4年(2022)発行
氷室叢書
青磁社
小春日の宇治大橋を渡りけり
花ふぶき川を背にして先陣碑
爆心と覚しき辺り落葉踏む
宇治川は氷室俳句会発祥の地である京都市伏見区石田の南の辺りから、流れを西へ変え、やがて桂川、 鴨川と合流し、木津川とも合流して、淀川として大阪湾へ流れていきます。
滋賀県の琵琶湖を含めて広大な淀川水系ができあがっており、その中に三和幸一さんの吟行地があって、この句集の中心を構成する句が生まれました。
(尾池和夫 氷室主宰) -
コンパス 井深信男
令和2年(2020)発行 遺句集
氷室叢書
青磁社
荒ぶる海なだむる如く山眠る
重ければ海に入りたる鯨かな
海鼠なれば水底の外知らぬらし
大空をなほわがものに鷹一羽
この続きは、天国でしっかりと詠み貯めてくださいと、声をかけたくなるような句集ができました。お目にかかったのが、つい昨日のように思い出される、そのような句集なのです。
この句集の一句一句を、俳句を志す後進の方々が学び、この心意気を継いでくれることを、私は切に願っています。
(尾池和夫 氷室主宰) -
句集 広島
昭和30年(1955)8月6日発行
句集広島刊行会
日の暑さ死臭に満てる百日紅 原民喜
廃墟すぎて蜻蛉の群を眺めやる
秋の水焼け爛れたる岸をめぐり
このような仕事をすることが、果してどれだけ平和将来のために役立つか、それを問うことはしばらく待つていただきたい。よしんば早急な成果は望めないとしても、ただそれだけの理由で、こうした役割が、放棄されてよかろうはずはない。あらゆる場所で、あらゆる形で、ひとびとの「はかない努力」はくりかえされて来たし、今後もまたくりかえされなければならない。そのような捨石の累積の頂点で、すべての悲願切望は成就するのだ。
(「おわりに」より)
11月の公開
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牡丹 細見綾子
平成8年(1996)
角川書店(第十句集)
結社「風」
吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる
平成三年より平成七年にいたる作句のなかから三五四句を選び一巻としました。八十四歳から八十九歳までの五年間のもので、『虹立つ』に次ぐ 第十句集になります。
句集の題名を『牡丹』としましたのは、牡丹の句が多いせいで、これは故郷丹波の庭から四十年前に移したもの、およそ八十年間かかわって来ました。毎年見ている牡丹にいろいろな思いが重なっております。(細見綾子) -
藹藹 三田きえ子
平成23年(2011)
四季出版(第七句集)
「萌」主宰
ほのぼのと臥龍の松の初日影
傘寿を祈念して、平成18年~平成21年までの作品700句の中から352句を自選して、第七句集『藹藹』としました。これからはさらに連中との絆を深めつつ、
和気藹藹と句作の道を歩みたいと願っております。
(三田きえ子) -
然々と 伊藤伊那男
平成30年(2018)
北辰社(第三句集)
「春耕」同人 「銀漢」創刊主宰
鱈割いて貪婪の腹さらけ出す
泣く孫を預かり秋思うやむやに
俳句は人生の変遷を映す鏡だなと思う。句集名『然々(しかじか)と』は「斯様(かよう)」「斯(か)く斯(か)く」と同類で、その後私はこんな風に生きてきました――、という意を籠めたつもりである。
(伊藤伊那男) -
晩緑 行方克己
令和元年(2019)
朔(さく)出版
「知音」創刊主宰(二人代表制)
題字:文徴明「行書千字文」「行書緑樹帖」より
(国立国会図書館デジタルコレクション)
この度の句集名は「新緑」に対しての「晚緑」というほどの心である。
もし、私の作品が人の心に届きにくいとしたら、それは私の表現力が至らぬためである。心して表現力を磨くことに励みたいと思う。
(行方克己) -
歩度 千田一路
平成30年(2018)
角川文化振興財団(第六句集)
「風港」主宰
前句集で、「計らいに捉われない自在な俳境」をと述べている。その思いに変わりはないが、本句集を編みながら、「歩度」を始めとする「歩み」や「足」に関することに触れた作品が、人称を問わず多い点に改めて気づいた。加齢が伴う自省からの無意識なこだわりだろう。〈自在〉から〈歩度〉へ、本意の向くところで句集名とした。
(千田一路)
10月の公開
【表紙をクリックしてください】
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千田一路集
平成10年
社団法人 俳人協会
本集は、『能登荒磯』と『波状』から大半を選び、その後の作品も幾らか加えて三百句とした。回想的に辿ったせいか、身辺雑記めいた部分も少なくない。しかし、これも確かに句の周辺である。 -
立雛 三澤たき
平成16年(2004)
角川書店
要するに百歳という年齢になっても、童心にかえり生き生きと五感を働かせ、感動したものを摑んでいる。句に命の輝きが出ているではないか。これこそ人間の生き方ではないか。句を読んで深い感銘を覚えたのである。三澤たきさん萬歳。
(滝沢伊代次) -
紙雛 三澤いつ子
令和2年(2020)
角川文化振興財団
三澤いつ子さんは平成三十年三月二十日、亡くなられた。八十九歳だった。お元気な頃は姉の治子さんと共に句会を持って会員を指導されていた。
いつ子さんの作品を句集に纏めたいとの姉の治子さんの発案で一本の形を見ることになった。「風」、「万象」の入選句から二九六句を抜粋した。
いつ子さんも喜んでおられるだろう。
(内海良太) -
花梯梧 三澤治子
令和2(2020)
角川文化振興財団
句集『花梯梧』には三五四句収録してある。主要なテーマは肉親への家族愛だろう。
今年九十六歳を迎えられた治子さん、どうぞこの先もご自分のペースで俳句を楽しんでいただきたい。ご母堂たきさんの年齢百七歳を目標に。
(内海良太)
9月の公開
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俳人松瀬青々 堀 古蝶
平成5年(1993)
邑書林
俳人協会評論賞受賞
我は句を以てこの世界を荘厳せんと欲す 青々
生涯大阪にあって、蕪村的艶麗の上に、芭蕉的わび・さびの世界を付加、独自のはんなりとした主観俳句を確立した松瀬青々の俳句的生涯を、膨大な資料を跋渉して明らかにする、意欲的書き下ろし長編評伝。 -
能登荒磯 千田一路
昭和57年(1982)
風神社(第一句集)
水足して田の神に良き風呂加減
俳句を始めたのが昭和二十八年頃である。流され易い青春の日々の中で、自己存在の証を文芸の場に求めようとしたのであろう。短歌や観念詩めいたものなども試みてみたりした。が、この極度な凝縮の詩型に傾斜し、意識的に作句するようになったのは、当時偶然手にして読んだ「風」の作品と、その志向するところに共感したからに違いない。(あとがき) -
波状 千田一路
平成7年(1995)
角川書店(第二句集)
カトレアに都心の夜の梅雨細り
(角川俳句賞受賞)
前句集の上に何を加え得たかは心許ないが、これからも即物具象を支柱にして作句を重ねる方向に、さして変りはないであろう。ただ作品の裏に、自分が確かに存在する俳句を成していきたい、という希いを強くしている。(あとがき) -
青嶺 内海良太
平成28年(2016) 有文社(第一句集) 題簽 内海良太
グレゴリオ聖歌洩れくる雪の窓
題名の「青嶺」は、旧対馬藩の宗家文書を調べに対馬に何度も渡った船からの眺望で、『魏志倭人伝』の対馬国は「絶島にして山険しく深き森多く……」とあるように重畳たる山なみの島であった。
(あとがき) -
朴の青空 江見悦子
平成25年(2013)
文學の森(第一句集)
落葉して朴の青空広がりぬ
俳句は見た「物」を、そのまま写生するという。
「そのまま」とは何か。それは、見た「物」の奥にある「いのち」に触れることではないか。
(大坪景章) -
冬芽 内藤恵子
平成16年(2004)
角川書店(第一句集)
上布打つ砧の音や花ゆうな
感覚が柔軟、素直な把握が対象を生かしている。器用とはいえないが、巧まないナイーブさが注目される。初心のういういしさを持ち続けて自分のものにしている。
(沢木欣一) -
山茶花 山口耕堂
平成26年(2014)
(株)KADOKAWA (第一句集)
下魚といふ真鰯の肌美しき
その素直で真面目な態度に、私は惚れている。
ご一緒して盃を挙げたい。真鰯大賛成。
(大坪景章)
初夏のまぶしき川を渡りけり
七日粥一匙ごとに嚙みしめて